「なぜ文化はビジネスにとってそれほど重要なのでしょうか。簡単に言うと、つまりこういうことです。文化が強靱であればあるほど、企業が用意すべき仕事のプロセスは少なくて済みます。文化がしっかりしていれば、誰もが正しいことをしてくれると社員を信じられるのです。」 - Airbnb 共同設立者兼 CEO ブライアン・チェスキー氏
2007 年にはエア マットレス 1 枚の貸し出しで生活費を稼いでいた人物が、2014 年には 1,000 万人のゲストを迎える評価額 100 億 US ドルの企業の CEO に。Airbnb の共同設立者の 1 人であるこの人物は、優れた企業文化を構築し、あらゆる成長と変化の中でそれを守ることの重要性について、何かを知っているはずです。
企業の中核をなす強靱な文化とは、巧みな言葉で表現された会社綱領でも、新たにリフォームされた会議室でも、気の利いたマーケティング キャンペーンでもありません。
It’s an environment where leadership means support and trust. Where workers feel empowered to carry their culture and their company through change and growth. It attracts and onboards new hires who quickly align to further an organization’s mission. It reduces turnover and increases productivity.
企業文化こそ、従業員が成功を収めて業績に貢献できるようにするための力です。
米国企業の CEO と CFO を対象とした 1 年にわたる調査では、回答者の半数以上が、企業文化が生産性や創造性、収益性、価値観、そして業績拡大に影響を与えていると答えました。またほぼ全員が、企業文化を改善することで企業価値が向上すると考えています。
デロイトの「グローバル ヒューマン キャピタル トレンド 2016」によると、回答者の 86 % が企業文化をビジネスの成功に欠かせないものと見なしています。
企業では、さまざまな個性や立場が現れては、消えていきます。入社してくる従業員が増えれば、思い立ってすぐに全体会議を開くようなことは、以前ほど簡単にできなくなるかもしれません。場所を変えることさえ必要になるでしょう。
人材が流動的で従業員が変わったり増えたりするのは、悪いことではありません。むしろ、まったく逆でしょう。
しかし、企業の中核をなす文化やインフラを守る備えがなければ、「秘伝のソース」を使い果たし、現在の地位を築くためにあなたを支えた忠実な人材を追い出してしまう恐れもあります。
強く賢明であり、先見の明を持って各部門を率いる企業のリーダーは、経営陣の刷新やビジネスの方向性の大きな転換、あるいは株式公開などの変化と成長の中で、以下の 7 つのステップを実行して、自社の中核をなす文化を定義し、体現し、保護する必要があります。
7 ways to keep your core culture strong
1. Be precise
Let’s just put it this way, if you don’t make the concerted effort to define your company culture—someone else, or something else, will.
ある日オフィスに足を踏み入れて、自分や同僚が入社したときは魅力的だった会社の文化はどうなってしまったのだろう、と不安になるようなリスクを冒したいですか?
そうでなければ、今こそ企業の中核となる文化の概要を明確に示すときです。
企業文化の基盤は、使命、ビジョン、価値観の上に成り立っています。それらを見直して、理解しやすく、いつでも参照でき、企業文化のあるべき姿に沿ったものであることを確認しましょう。
- 価値観とは、会社の全員が納得して信じることができ、自身がどのように行動し、感じ、働くかを定義する指針となります。企業の中核となる文化の主な構成要素であり、日々の行動や意思決定の指針となるべきものです。価値観を明確にする際は、コラボレーション、イノベーション、環境など、会社が何に情熱を持っているのかを考えてみてください。
- ビジョンとは、あらゆる変化や成長を通じて、会社がどのような組織を目指すのかを表します。従業員のモチベーションや指針となるべきものです。
- 会社綱領とは、会社が存在する理由を社内や広く社外に簡潔に伝えるものです。これを定めるときは、「この会社は何をするためにあるのか」と自問してください。
一部の企業が間違っているのは、この価値観を文書によって約束するだけで、実際に信じたり実践したりしていないことです。そのため、企業の中核をなす文化の指針にではなく、中身のない言葉になっています。
このような胡散臭さは、従業員や就職希望者にも、そして顧客にも伝わるものです。そして、価値観に合わせて文化を再調整したり、価値観に沿うように努力したりしなければ、難しい決断や変更がどうしても必要なときに、会社をあるべき姿に保つための拠り所がなくなります。
巨額の粉飾決算で破綻したエンロンの倫理規定を見ると、そこには、尊敬、誠実さ、コミュニケーション、そして卓越性への「コミットメント」が謳われています。おかしなことに、同社の中核をなす文化に「詐欺」はないようですが、それは間違いなくエンロンを私たちの記憶に留める要因となりました。
皆さんは、排ガス試験をごまかすことがフォルクスワーゲンの使命のひとつだったと思いますか?ウェルズ ファーゴは、従業員が不正な銀行口座を無数に開いて逮捕されるほど、強烈な営業圧力をかける文化を掲げていたのでしょうか。
これらは、企業文化が単なる広報活動に過ぎず、会社綱領が埃まみれの書類の中に置き去りにされ、価値観が成長の中での変化の指針として活用されていない場合に起こる例です。
2. Prioritize culture from the beginning with onboarding
文化とは、「…感じるのは簡単だが、表現するのはときに難しいもの」です。
新規採用者が新人研修を受け、自ら選んだ職場について学んでいる人事部ほど、この言葉が深く感じられる場所はないでしょう。
新人研修は子育てのようなものだと思ってください。新入社員は、最初は少し戸惑いながらも、手取り足取り教えてくれる人を探しているものです。
新入社員がまだ仕事に慣れようとしている初期の頃は、新しい役割や、目標、価値観への適応が進みやすい時期であることが実証されています。このときこそ、文化的なトレーニングが最も持続的な効果を発揮するのです。
知識が効果的に共有され、担当を任された各チーム メンバーが周到に準備して研修の成功を目指しているような、入念に計画された新人研修を採用者が受けることができれば、コミュニケーションや、チームワーク、従業員の成功といった企業文化の中核をなす要素を自然に吸収してくれるでしょう。
では、コミュニケーション不足で効率の悪い研修を受けて、新入社員が空回りしているように感じたらどうでしょうか?結果は推して知るべしです。
企業文化の浸透に重点を置いた効果的な新人研修プログラムを実施すれば、定着率は 25 % も向上します。従業員を入れ替えるための費用が給与の 5.8~213 % にも及ぶとなれば、巧みな新人研修テクニックに注目するのは、文字どおり注目に値する取り組みでしょう。
新入社員を早く戦力にして、チームや企業文化に溶け込ませるためのヒントや、人事部が日々の重要な業務をこなしながら、この戦略的な新人研修を一体どうやって成功させるかについてのヒントをもっと知りたいですか?
お任せください。新入社員の研修で企業文化を浸透させるための 6 つのステップをご確認ください。
3. Set benchmarks, make measurements, take action
企業文化にどのような働きがあるかを理解しようとするとき、最も参考になるのは、毎日をその中で過ごし、働いている従業員でしょう。
HubSpot の元プロダクト マネージャーであるカレン・ルービン氏は、企業文化を測定することが大変な作業であることを認めながら、従業員の満足度を確認し、中核をなす文化を順調に推し進めるための基準を確立するためには本当に価値のある作業だとも述べています。
HubSpot は、アンケートや面談を通じて、自社の企業文化について従業員が何を好ましいと思い、何を好ましくないと思っているかを調べています。
さらに、ネット プロモーター スコア(NPS)というアンケートを社内で実施し、通常の顧客ではなく従業員に対して、自社で働くことを友人に勧めたいかどうか、そしてその理由はなぜかを尋ねました。
NPS の算出に用いられている 10 点満点の評価システムは、従業員のロイヤルティを数値化するのに役立ちます。
フィードバックを 1 回収集すれば、従業員がどのようなことに関心を持っているかを把握できるので、その後のアンケートを検証するための指標を設定できます。
これらの指標に最も関連性の高い質問はできるだけ類似したものにして、時期が離れても一貫性と正確性が確保されるようにします。
Insperity の人事のスペシャリストが企業文化に関するアンケートにふさわしいと勧める質問をいくつか紹介します。
- [あなたの会社名]で働くことをお友達に勧める可能性はどのくらいありますか?勧める(または勧めない)理由は何ですか?
- あなたの意見は尊重されていますか?
- 過去 3 か月の間に、あなたは仕事のできが良かったことを上司から何回ほめられましたか?
- 仕事に必要なリソースとツールはありますか?
- 上司はあなたの話に耳を傾けてくれていると思いますか?
- あなたの報酬は公正であり、市場において平均的なものだと思いますか?
- あなたは自分の仕事に満足していますか?
自分が率直に意見を述べたことでしっぺ返しがあるのを従業員が心配しているようであれば、そのことを頭に置いたうえで、匿名で意見を伝える方法を提供しましょう。もし、従業員が意見を述べることにまったく興味を示さないようであれば、それは不信感や無関心を示す赤信号なので、すぐに対処する必要があります。
企業の中核をなす文化に対する従業員たちの思いについての取り組みは、指標を定めただけでは終わりません。今度は、これらの結果を何らかの行動につなげなければなりません。
ここで失敗すると、会社の価値観を疑われたり、すでに従業員が克服しかけているネガティブな感情を再び喚起したりしかねません。
4. Exemplify adoption from the top down
いくら従業員のフィードバックが重要だといっても、会社や文化を進んで成長させるためには、やはりリーダーシップ チームの取り組みが必要です。
管理職の立場にある者は、現職の従業員や新入社員に模範を示すために、会社の価値観に従って行動することを約束するとともに、そのための権限を与えられる必要があります。
自社のリーダーシップ チームが会社の価値観の良いお手本になっているか、部下の行動を喚起できているか、同じ志を持つ就職希望者を引きつけているか、もっと頑張ろうと常に自分と他人のモチベーションを高めているか、今こそ自分の胸に聞いてみてください。
企業の中核をなす優れた文化をリーダーシップ チームが体現できていると自信を持ったら、以下の 5 つのステップを試してみてください。これは、従業員のエンゲージメントと企業文化について調査している 6Q の専門家が自社の中核的な文化をトップダウンで導入するために社内で行ったものです。
Go (very) public
企業文化を高らかに宣言します。従業員ハンドブックで概要を説明し、会社のウェブサイトで公開します。ポスターに印刷して、自社の壁やクライアントの壁に貼り出しましょう。
これは、説明責任を果たすのに最適なだけでなく、あなたが自社の中核的な文化を信じ、すぐにあきらめることはないというメッセージになります。
Discuss culture weekly
規模を拡大しつつある組織が結束力を保つためには、全員参加のミーティングを毎週開くのが最も良い方法です。しかし、通常の議題をすべて終えたらすぐに解散するのではなく、少し時間を取って、企業文化を体言している従業員を評価したり、その週に自分や同僚がどのように会社の使命を守っていたか、誰かに例を挙げてもらったりすると良いでしょう。
Revisit values in two-way performance reviews
業績評価は双方向で行うべきです。従業員にあなたの業績を評価させ、あなたがどれほど企業文化に沿って行動しているかをフィードバックしてもらう必要があります。
Use values as a recruitment tool
新入社員の採用広告では、自社の企業文化を前面に押し出す必要があります。
採用候補者と面接する際には、人事担当者は必ず会社の価値観について説明し、その価値観を候補者が自分の人生の中でどのように体現してきたかを尋ねるべきです。
候補者が自社の中核的な文化に共感するかどうかを慎重に検討してから、採用手続きに進めるようにする必要があります。
Include cultural learning in onboarding
新入社員に自社の中核となる文化を強く印象づけるチャンスはこの時しかありません。
人事担当者は、標準的な新人研修の中で、とりわけ企業の中核的な文化に的を絞る必要があります。新入社員であっても、会社が何を大切にしているのかを理解し、何が受け入れられないかを知り、自社の文化を実践するうえでの手本を見出すべきでしょう。
文化に重点を置いた新人研修を実施しながら、増加する人事担当者の受け持ち作業をうまくこなすためのヒントは、こちらをご覧ください。
5. Clear the path for communication and feedback
広範囲に分散する社員を緻密な構成で管理し、経営幹部が戦略的な指示を下しているような大企業でも、コミュニケーションとフィードバックの余地は常にあるはずです。
従業員は誰しも、気軽に問題を提起し、アイデアを提案し、会社の文化がどのような働きをしているかについて意見が言えなければなりません。
特に、リモート ワーカーや新入社員、そして声高に反対意見を述べる人には注意してください。こうした人たちは、孤立感を抱くリスクが最も高く、変化による悪影響を最も強く感じる可能性があります。
そして、もし管理職の誰かが、社内のどこかで不平不満を耳にしたら、その声を聞き逃さないことです。放っておけばネガティブな感情が治まるだろうとのんびり構えていたら、管理職の至らなさが作り出した溝を、思い込みがさらに押し広げてしまうでしょう。
チーム全体が参加する「タウン ホール」ミーティングを開き、ネガティブな感情があれば、結果を恐れずに明らかにできるようにします。
たとえ、不満を持つ従業員の声にすべて応えることができなくても、コミュニケーションとフィードバックの機会を提供するだけで、従業員を 1 人も見捨てることのない文化を持つ会社であることを示すことができます。
6. Don’t underestimate “silly” traditions
クリスマスのプレゼント交換で家族が嬉々として使いまわす羽根でくるんだ不格好なオーナメントから、職場で金曜日に開くランチタイム勉強会まで、人々は良い伝統を好みます。
会社が成長するにつれて物事が変化していくように感じられる場合は、最も大切な伝統をいくつか守り続けることで、長い間一緒に働いてきた従業員に多少なりとも安定感を抱かせることが簡単にできます。
そして、大切なのは古い伝統だけではありません。時が経つにつれて(企業文化に沿った)新しい伝統が生まれれば、従業員たちはその伝統を受け継いでいくことで、自身にとって大切な体験を共有できます。そして、その絆は、従業員ハンドブックに書かれている価値観よりも深く、目覚ましい成長を示す指標さえも凌ぐものになります。
7. Reinforce through recognition
どんなに控えめな人でも、たまには評価されたいと思うものです。そして面白いことに、上司がそのことをよく理解していれば、変化の真っ只中にあっても、価値ある企業文化を強化することがはるかに簡単になるのです。
An employee engagement survey by the Aberdeen Group reports that 95 percent of organizations feel employee recognition improves engagement.
IBM Analytics の調査で、評価プログラム、特に中核的な企業文化を身をもって示すことで報酬が得られるプログラムに参加する従業員は、参加しない従業員に比べて、やりがいをより強く感じていることがわかりました。
また、評判の高い人材紹介会社ロバート ハーフ インターナショナルは、評価される機会が限られていることが、従業員が会社を辞める一番の理由であることを発見しました。
従業員を評価すれば、エンゲージメントを強化できるだけでなく、中核となる文化を曖昧なままに留めず、どうすればその理念を実生活で身をもって示せるかを従業員に伝えることができます。
下の表は、主な文化的要素を強化するには、どのような行動を評価すべきかを見極めるためのものです。
企業の文化は生きています。それは組織を活かすための血液であり、首脳陣の行動から、新入社員を迎えた初日の人事担当者の振る舞いまで、組織の隅々にわたって脈打っています。
企業が成長し、変化し、デジタル変革を遂げる中で、強靱な企業文化を維持することは容易ではありません。しかし、明確な目標を定め、測定と強化を定期的に行い、模範を示して従業員を動機づけし、フィードバックの道を開くなど、今日お話ししたことをすべて実行に移せば、きっと実現できるはずです。
企業規模が大きくなっても、断固とした姿勢で企業文化を維持しようとするしっかりした意図があれば、熱意があって生産性の高い従業員がいるという強みを発揮して、競合他社に差をつけることができます。
セオドア・ルーズベルトは、「人生が与えてくれる最高の宝物は、なんといってもやる価値のある仕事に打ち込めることだ」と言っています。
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